本業を忘れた銀行《№21》
- 福田 敏彦

- 6 分前
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8月17日の日本経済新聞の記事です。三井住友も、みずほも、三菱UFJも、軒並み「超富裕層」の資産管理業務拡大に動いているとの内容です。「日本の銀行はこれまで幅広い層から預金を集め、融資に回して稼ぐ利益が経営の柱だった。」が、「銀行の収益源が融資から資産管理に変わる転換点になる可能性もある。」というのが日本経済新聞の解説です。
さて、この解説に大きな間違いがあることに気付かれるでしょうか?
まず、銀行は集めた預金を融資(貸出)しているのではなく、借り手に対する貸出債権を得たことで、負債である預金通貨を発行しています。貸出業務に預金集めは不要です。必要なのは「借り手」だけ。
次に、資産管理業務の前段にある富裕層からの預金集めが何を意味するかですが、銀行が他行から預金を奪うと、自らの負債である預金通貨が増える代わりに、他行の資産であった日銀当座預金が手に入ります。この状態では逆ザヤであることが重要です。つまり、これだけでは銀行は損をします。
ではどうするか?グループ内等の証券・信託と協働しながら、グループ全体で利益を得る仕組みです。銀行部門単体では、「貯蓄から投資へ」のセールスで、投資信託等を販売して、販売会社としてその販売手数料の一部を受け取っています。
さて、本題は、なぜこのような業務改革が進んでいるかということです。結論から言うと、銀行が本業(信用創造=貸出)を忘れざるを得ない経済状態が続いているからです。
名目ベースのGDPは、2020年頃までの550兆円から、2025年では670兆円程度まで増加しています。主な要因は輸入物価上昇のコストプッシュで、ここ数年はサプライロス型のインフレも加わっていますが、実質ベースでは2025年は591兆円と、生産量は伸びていないというのが現状です。
一方銀行貸出は、この間100兆円程度増加していますが、企業の運転資金が物価上昇で名目上膨らんでいることが主因だと考えます。つまり、積極的な既存事業の拡大、新規事業の拡大のために伸びてはいないということです。
政府の不作為(緊縮財政)のお陰で、企業は投資や消費ができず、つまり、銀行借入を増やせません。貸出を増やせない銀行は、世の中に既に存在しているおカネ(預金)を奪い合って利益を得る仕組みに移行しているというわけです。その対象が、一般国民ではなく一部の富裕層だという悲しい現実が示されていると言えるでしょう。

私の著書のキャッチコピー、『政府と企業の借金が増えるほど、国民は豊かになる』の意味が、今日取り上げた記事の解釈からも感じてもらえると嬉しいのですが・・・。
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