「株価」って何?《№35》


東証を事務局として外部識者と金融庁・経産省によって今も続いている『市場区分見直しに関するフォローアップ会議』は、2023年1月30日に、『市場区分の見直しに関するフォローアップ会議の論点整理』を出状します。ここから『株価』が経営指標に強制的に組み込まれることになりました。
この文書の冒頭で語られたのは、国民に幅広く金融資本市場の恩恵が生きわたることを念頭においた『ファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)』と、誰もが耳にされたであろう『PBR1倍割れ問題』でした。後者において、識者たちは、「全上場会社の約半数がPBR1倍割れの状況にメスを入れない限り意味がなく」との認識を示します。これが、2か月後に導入が宣言された『資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応』でした。現在はコーポレートガバナンス報告書での開示にドッキングされましたが、運用はコーポレートガバナンス・コードとは別建ての上場会社に対する強烈な要請です。
ところでその『株価』とは何でしょうか?私の認識はイラストに簡潔に示しています。一言でいうと、『実現していない見かけ上の金額』となります。企業は株価を意識して、時価総額を大きくすることに注力します。それは買収防衛的な意味では理解されますが、新規株式発行がほとんどない現在の情勢では、発行メリットとも言えません。また、銀行借入を考える場合においても、時価評価されず、自己資本力(安全性評価)として使われるわけでもありません。
では、何のために?
株式市場を支配する金融資本、あるいはその価値観に同調し規律付けてくる機関投資家などのシェアホルダーに評価されるためです。金融資本の価値観に合致して成果を出す企業(成果は業績だけでなく、多様性や環境問題などへのコミット・実行などを含む)の経営者は引き続き経営が許され、そうでない経営者は退出を迫られるという全体主義による企業統治(「コーポレート・ファシズム」)のしくみに他なりません。
フィナンシャル・インクルージョン。インクルージョン(包摂性)というキーワードが出た瞬間に「全体主義的」思想、システムであることを私たちは直観すべきです。
本著《3-3-4》株式投資・株主の倫理観
~匿名性に守られる無責任な存在(株主は何も責められない)~
本著《5-3-4》指名・報酬委員会(+CGコードの正体)
~金融資本が望む人選と報酬基準で、経営者の価値観をオルグする~
本著《5-4-1》株式は資金調達手段?
~既発行株式売買(所有のカネ)による資本家の統治手段~
本著《5-4-2》PBR1倍割れ問題(「資本コストや株価を意識した経営」)
~株式市場(直接変数でない株価)で企業経営を支配する~
本著《5-6-1》ステークホルダー資本主義
~個別企業を通じた世界の統治(コーポレート・ファシズム)~
本著《6-4-1》株主資本統治と銀行統治の違い
~株主資本統治は経済を収縮させ、銀行統治は経済を拡大させる~


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