CGコード改訂、スリム化とエクスプレイン推奨の解釈《№33》

コーポレートガバナンス・コード改訂2026の改訂について、某セミナーで登板した経済産業省の課長は、改訂に対して経済産業省の意見が反映されたとして、以下の内容を示していました。
❶コードのスリム化/プリンシプル化が反映されて、83コードが30コードになった。❷エクスプレイン推奨が反映されて、エクスプレインを積極的に選択すべきとなった。
また、某信託銀行系コンサルティング会社の社員は、以下のように強調していました。
改訂の本質は「形式から実質へ」/スリム化は負担軽減ではない。
さて、実際のところ「スリム化」は実現されたのでしょうか?その答えは、CGコード改訂のパブコメの状況が物語っていたと私は思います。どんな状況だったかというと、企業寄りの意見は、「経営の自由度を大きくしてほしい(スリム化)」との方向で語られ、投資家や資本市場関係者、コンサル業者などは、「規律が緩くならないように(さらに厳しく)」という基本的な対立の構図だったと言えます。
では、冒頭でご紹介した二人の登壇者はどのような立場かと言えば、まず経産省課長は「企業寄りの形式論」、コンサル業者社員は、「改訂評価は投資家寄りで、そのため解決は私にとの意味での企業寄り」という感じでしょうか。
では私の意見を明らかにしておきます。
スリム化していません(むしろ細則的に)
コーポレートガバナンス・コードの冒頭に、5つの項目に区切られ、トータル14個の説明が並んでいます。その要点を独断で抜粋したものが👇イラストです。赤字で示したところをご確認ください。今回の改訂ではかつて83コードの一部だったものが、新設された「解釈指針」に移って、場合によってペストプラクティスやグッドプラクティスの形で細則的に表現されています。そして、その重要性は「解釈指針」になっても失われていないと明記されていることをご確認ください。この言葉を確認するだけでも、スリム化されたわけではないことを認識していただけるはずです。
さらに注目してほしいのは、「丁寧なエクスプレイン」が推奨され、投資家側にも歓迎すべきと意見されていることについてです。誰が推奨し歓迎を求めているかが重要です。企業側が、「説明(エクスプレイン)でいいよね」ではないのです。
導入から10年以上たっても、例えば(『成長投資ガイダンス』の問題認識《№15》)で紹介したように、CG改革は進んだとされても、一方で「成長投資の拡大や持続的な賃上げにつながっていない」との認識が、行政府、識者、投資家、資本市場関係者、コンサル業者の間にあります。これはもっと真摯に認められなければならない現実です。
それにも関わらず、先に整理したように彼らは改訂において、スリム化ではなく規律付けが必要だと言い続けています。そこに、『責任転嫁』が生じているのだと私には思えます。ある人は、企業が独自の説明ができるほどに考えてないのが悪いという意味での『責任転嫁』、またある人は、企業にも主張する機会を与えてあげないと矛先が自分たちに向かうとの保身からの『責任転嫁』です。
私の2026年CGコード改訂に対する評価は、
「細則的、丁寧さ欠如、そして責任逃れ」です。
なお、そもそも論としては、パブコメが東証にとっての社外取締役《意見❶: CGコード改訂パブコメ》から続く全9記事(私のパブコメ意見9つ)をご参照ください。




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