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RMT(法令遵守の貨幣理論)

特別号 CGコード改訂パブコメ意見❾「総括意見」

  • 執筆者の写真: 福田 敏彦
    福田 敏彦
  • 6月16日
  • 読了時間: 4分

私が提出したパブコメ意見❾を公開します。

これが今回私が提出した意見の総括、最終の意見です。


東証および金融庁は、コーポレートガバナンス・コード改訂に際し、パブリックコメント手続きを実施しています(リンク先は東証による運用説明)。


ご注意:これは1分では読めません。


今回、私が提出したパブコメ意見❾を以下に公開します。(これで全❶~❾の公開終了)



今回のコーポレートガバナンス・コード改訂案に対し、これまで8本の意見を提出してきましたが、総括として申し上げたいのは、日本のコーポレート・ガバナンス改革が、本来の目的である「企業の持続的成長と中長期的な企業価値向上」から乖離し、制度の目的と手段の整合性を失ったまま企業社会に過度の負荷と歪みをもたらしているのではないかという点です。


日本経済は30年にわたり総需要不足のデフレ環境に置かれ、企業は投資よりもコスト削減と需要の奪い合いに追い込まれてきましたが、この状況を生んだ主因は政府の財政・金融政策の不作為にあり、にもかかわらずガバナンス改革は「経営環境を与件」として個社に資本コスト経営やROE改善を一律に求め続け、合成の誤謬を無視した制度運用が続いています。


さらに、独立社外取締役については、金融庁フォローアップ会議自身が「質が最大の問題」と繰り返し指摘しているにもかかわらず、非常勤(時間制約)・社外性(情報制約)という構造的制約を持つ独立社外取締役に、さらに高度な監督能力やアジェンダ設定能力を求める制度が積み増され続け、制度設計として無理が生じています。


多様性規範においても、ジェンダー・国際性・経歴・年齢・文化的背景と列挙しながら「これに限られない観点から」と記載する一方で、実際には特定の価値観に偏った規範が提示されており、自由な価値観の尊重という多様性の本旨と矛盾し、政府方針や東証規則との整合性も欠いています。


さらに、独立社外取締役は誰の代理人なのかという問題も深刻であり、東証の定義では「少数株主≒外国法人等+信託銀行」である以上、原則4-8が「少数株主の意見を取締役会に反映させる」責務を課すことで、独立社外取締役が外国人株主の代理人として機能する構造が生まれており、会社法109条の株主平等原則を超えたアファーマティブ・アクションのような制度運用になっている点も看過できません。


加えて、事業ポートフォリオ見直し(ベストオーナー)や政策保有株式縮減の一般規範化は、企業の戦略的自由を奪い、経済安全保障上のリスクを高める結果となっており、これらは本来、個社の判断であるべきものが、行政指針とコードの複合的作用によって事実上の義務として受け止められています。政策保有株式縮減については、憲法29条の財産権との関係でも慎重であるべきであり、日米構造協議以降の株主構造の大転換や流通株式定義変更を踏まえると、外国人株主の価値観を優先する制度として作用している側面が否定できません。


金融庁や東証は「プリンシプルベース・アプローチ」「エクスプレインで自由度がある」と説明しますが、実務では「実施しない理由を説明せよ」という構造が企業に強い圧力として作用し、原則主義は実質的に強制力を持つ規範として機能しています。


以上のように、ガバナンス改革は、企業のための制度ではなく、外国人株主・機関投資家の価値観を企業社会に一般化する制度となっており、これは行政の意図の有無にかかわらず制度がもたらす「結果」として厳然と存在する構造であると考えます。


もし、ベストオーナー概念や政策保有株式縮減、多様性規範、独立社外取締役の過半数化などが「日本企業のあるべき姿」として本当に重要であるとお考えであれば、それは行政指針やコードのレベルで行うべきではなく、会社法改正など国会での民主的手続きを通じて法制化の是非を議論すべき内容です。


パブリックコメントは東証にとっての「建設的な議論の場」であり、寄せられた意見は東証に対する外部監督機能を果たすものですので、本意見がコードの目的と手段の整合性、日本企業社会の持続的発展、日本経済の再生に向けた議論の一助となることを強く願います。

 
 
 

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