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特別号 CGコード改訂パブコメ意見❽「政策保有株式縮減一般化の弊害」

  • 執筆者の写真: 福田 敏彦
    福田 敏彦
  • 6月13日
  • 読了時間: 3分

私が提出したパブコメ意見❽を公開します。


東証および金融庁は、コーポレートガバナンス・コード改訂に際し、パブリックコメント手続きを実施しています(リンク先は東証による運用説明)。


ご注意:これは1分では読めません。


今回、私が提出したパブコメ意見❽を以下に公開します。(❾まで続きます)



政策保有株式縮減の一般規範化には重大な弊害があると考えます。

個社企業が実際の株主からの要請に向き合うことは、会社法第109条の「株主平等の原則」の下で当然の責務です。しかし、これを一般化し、社会規範として制度的に押し付けることには大きな問題があります。憲法第29条が「財産権はこれを侵してはならない」と定め、法人にも適用されると解されている以上、企業が保有する株式という財産の扱いに、行政が事実上の強制力を伴う規範を課すことは、慎重であるべきです。


この問題は歴史的経緯を踏まえると、より深刻に見えてきます。1989年の日米構造協議において、日本企業社会は「排他的取引慣行」と評価され、貿易不均衡是正の名の下に「ケイレツ解体」が求められました。その後、BIS規制導入や時価会計導入などの制度変更が銀行による株式保有を困難にし、結果として日本企業の株主構造は大きく転換し、外国法人等が主要株主として台頭したことは、東証の株式分布状況調査からも明らかです。


こうした背景のもとで、コーポレートガバナンス・コード基本原則1が「外国人株主への配慮」から始まること、2022年の市場区分変更で流通株式の定義が変更され、邦人銀行・生保・邦人企業などの保有株式が流動性の低いものとして扱われる一方、外国人株主は流動性の高い株主として扱われるようになったことは、政策保有株式縮減の一般規範化と無関係とは言えません。


「純粋な投資目的=値上がりや配当期待」(金融庁の定義)でない株式保有は縮減されるべきという価値観は、外国法人や一部株主が主張すること自体は自由ですが、それをCGコードとして一般化する合理性はどこにあるのでしょうか。さらに、政策保有株式縮減の進捗を有価証券報告書で開示させ、その総会前開示を担当大臣が異例の声明で要請した経緯についても、政策的中立性の観点から説明が求められるべきです。


金融庁や東証は、「本コードはプリンシプルベース・アプローチであり、大掴みの原則に過ぎない」「エクスプレインを選択できる」と反論するかもしれません。しかし、政策保有株式縮減は到底「大掴み」とは言えず、また「実施しない理由を説明せよ」という構造は、一般社会において自律性が確保されているとは認識されません。実際には、企業は行政・市場からの強い圧力を受け、事実上の義務として受け止めています。


さらに、政策保有株式縮減が一般規範化されることで、企業の戦略的株式保有の自由が奪われ、結果として外国資本による日本企業株式の取得が相対的に進みやすくなるという構造的問題も無視できません。これは経済安全保障の観点からも看過できない問題です。


もし、政策保有株式縮減を社会規範として強制することが本当に正当であり、公共性があると主張するのであれば、それは行政指針やコードのレベルで行うべきではなく、会社法改正など、民主主義的正統性を備えた国会審議を通じて法制化の是非を問うべきです。


パブリックコメントは、東証にとっての「建設的な議論」の場であり、寄せられた意見こそが東証に対する「独立社外取締役」としての外部監督機能を果たすものです。この観点から、寄せられた意見に真摯に向き合い、検討し、その対応過程を含めた透明性の高い説明責任を果たす開示がなされることを強く要望します。


 
 
 

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