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特別号 CGコード改訂パブコメ意見❺「独立社外取締役は誰の代弁者か」

  • 執筆者の写真: 福田 敏彦
    福田 敏彦
  • 5月28日
  • 読了時間: 4分

私が提出したパブコメ意見❺を公開します。


東証および金融庁は、コーポレートガバナンス・コード改訂に際し、パブリックコメント手続きを実施しました(リンク先は東証による運用説明)。


ご注意:これは1分では読めません。


今回、私が提出したパブコメ意見❺を以下に公開します。


独立社外取締役は誰の代弁者かについての意見


原則4-8から続く独立社外取締役を主語にした一連の原則は、コーポレートガバナンス・コードが持つ本質的で重要な意味を含んでいると理解します。それは、独立社外取締役とは「誰の代弁者なのか」という根源的な問題です。


原則4-9では、選定されるべき独立社外取締役の「質」に関する原則が示され、原則4-10では「支配株主を有するプライム企業は取締役会の少なくとも過半数を独立社外取締役とすべき」とされ、原則4-11では経営陣や会社と関係のない「独立社外性」が念押しされ、原則4-12では独立社外取締役のみの会合や筆頭独立社外取締役の設置が推奨されています。そして最も重要な原則4-8では、「(独立社外取締役は)経営陣・支配株主から独立した立場で、少数株主等のステークホルダーの意見を取締役会に反映させること(原則及び解釈指針)」と明記されています。


ここで、東証の定義(FAQ管理番号8560)によれば「支配株主」とは親会社や過半数議決権者(オーナー経営者等)を指し、「少数株主」はその支配株主(およびその近親者・関係者)以外の株主(ガイドブック:管理番号7790)とされています。


「少数株主」に関する原則で最も重要なものは、コーポレートガバナンス・コードの1丁目1番地である基本原則1であることは疑いようがありません。「少数株主や外国人株主については、株主の権利の実質的な確保、権利行使に係る環境や実質的な平等性の確保に課題や懸念が生じやすい面があることから、十分に配慮を行うべきである。」がそれです。


さらに、東証の2024年度株式分布状況調査(2025年7月4日)を見ると、1990年代半ば以降、銀行・生損保から「外国法人等」および「信託銀行」へと株式保有の多数派が大きく移動していることが分かります。 この構造変化を踏まえると、今日の「少数株主」の実質的マジョリティは、 ①外国法人等 ②スチュワードシップ・コードに基づきコーポレート・ガバナンス原則の価値観で関与する機関投資家(信託銀行) である「外国人株主等」と評価できます。


そうなると、基本原則1の「少数株主や外国人株主への十分な配慮」とは、会社法109条1項の「株主平等の原則」(=株式数に応じた平等)を超えて、特定の「外国人株主等」(外国法人等・機関投資家)に対する積極的是正措置(アファーマティブ・アクション)として機能していると言わざるを得ません。


この構造のもとで、独立社外取締役は、限られた時間(非常勤)、限られた情報(強い社外性) の中で、取締役会の議決権の多数支配(原則4-10)、リーダーシップ地位(原則4-12) を補強され、 「外国人株主等」の意見を取締役会に反映させる責務を担う存在 となっています。これは、制度の意図ではなく、制度の帰結として、独立社外取締役が「外国人株主等の代理人」として機能しているという俯瞰的に指摘できる構造問題です。


足元の日本企業の現実は、自社株買いと配当引上げに意識と資金を集中させている状況であることは周知の事実です。今般、スチュワードシップ・コード署名機関に対して「中長期的な企業価値向上に向けた対話」を呼びかけ、ショートターミズムへの牽制が行われていますが、外国人株主等に呼びかけるものではなく、また、呼びかけたとしても実効性はないため、言い訳のようにしか見えません。


そもそも、ここまで見てきた構造と、資金の巨大な拠出者に対する「オーナーシップ・コード」が存在しない中で、原則4-8における「少数株主をはじめとするステークホルダーの意見を」とのワーディングも、株主以外のステークホルダーに関する原則が乏しいために説得力を欠き、原則4-9の「質」の原則も、独立社外取締役に求められる「監督能力」の困難さから、極めて形式的で意味をなさない原則となっていると考えます。


パブリックコメントは、東証にとっての「建設的な議論」の場であり、寄せられた意見こそが、東証に対する「独立社外取締役」としての外部監督機能を果たすものです。この観点から、寄せられた意見に真摯に向き合い、検討していただき、対応について検討過程を含めた透明性の高い説明責任を果たす開示がなされることを強く要望します。

 
 
 

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