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特別号 CGコード改訂パブコメ意見❹「独立社外取締役の『質』とダブルスタンダード原則」

  • 執筆者の写真: 福田 敏彦
    福田 敏彦
  • 5月22日
  • 読了時間: 5分

私が提出したパブコメ意見❹を公開します。


東証および金融庁は、コーポレートガバナンス・コード改訂に際し、パブリックコメント手続きを実施しました(リンク先は東証による運用説明)。


ご注意:これは1分では読めません。


今回、私が提出したパブコメ意見❹を以下に公開します。


独立社外取締役の「質」とダブルスタンダード原則に関する意見

金融庁が主催する第27回フォローアップ会議(2022年5月16日開催)では、事務局資料P5において、CG改革実施後の研究として『社外取締役の導入は企業価値との間に有意な関係が見られない』との見解が示されました。翌年の第28回フォローアップ会議(2023年4月19日開催)事務局説明資料P3では、ガバナンス改革が実質化の壁に直面している最大の要因は、その「担い手」(独立社外取締役・執行側)の質の問題であると明確に振り返られています。つまり、もっとも権威ある会議体が、「形式は整ったが、質が伴っていない」という評価を示してきたという事実です。


その上で、2026年4月10日付の金融庁・東京証券取引所の文書『成長投資の促進に向けたコーポレートガバナンス・コードの改訂について』では、「特に独立社外取締役の実効性向上に向け、役割・責務、質・量の確保、独立性確保の重要性を強調している」とされ、今回の改訂案が提示されています。 つまり、「質が問題だ」と自ら認め続けながら、なお同じ方向に制度を積み増しているという構造です。


これに対して、2022年7月19日付の経産省『CGSガイドライン(改訂2022)』は、より本質的な論点を提示していました。特に以下の4点は重要です。

監督機能だけでなく執行機能強化が重要(監督モデルの限界、執行型モデルの見直し) ❷ 社長・CEOの能力とリーダーシップが企業価値の核心(社外取締役が執行を弱める場合もある)

社外取締役の質と意識の向上が不可欠(非常勤では貢献に限界、株式報酬などのインセンティブ議論も必要)

会社課題に応じた取締役構成が必要(形式的多様性への疑問、社内取締役の重要性)


金融庁フォローアップ会議が「質」を問題としてきたこと、経産省ガイドラインが総合的な観点から問題を指摘していることは、これまでの日本のコーポレート・ガバナンス改革が、「まず形式から入って実質は後から備えればよい(某権威が繰り返されている説明)」との前提で進められてきたこと自体が大問題である可能性を示しています。 つまり、形式を無理に変えたことによる弊害・非現実性が、表面化しているのに、改革は間違っていないという集団浅慮や忖度が働いている可能性があるということです。


過去の分析をなぜ活かさないのでしょうか。「監督」とはいかなるレベルのいかなる範囲の能力を想定しているのでしょうか。私は一部の識者が言うような「執行側が決めた計画が実行されているかどうかのチェック」のような誰でもできる能力を想定しません。限られた時間(≒非常勤)と情報(≒社外性)の中で、執行側の不作為までも指摘できる能力であり、だからこそフォローアップ会議等でも最大の問題は「質」としてきたのではありませんか。問題はそのようなレベルの「質」を備えた人材が多数存在するのかという点です。言い換えれば、いつまで「パートタイマー(非常勤)のスーパーマン=スーパー独立社外取締役」の存在を前提にした規範を、上場会社に強いるのかという問題です。今回、取締役会事務局(コーポレートセクレタリー)の強化が原則化されましたが、「年間の取締役会開催スケジュールや予想される審議事項を決定しておくこと」などは、形式面は事務局であっても、審議事項の決定とはすなわち、社外取締役に期待される「質」そのものである「アジェンダセッティング能力」です。 事務局機能まで箸の上げ下ろしのように原則化するのは、導入・法制化している他国が正しいとの先入観に囚われて、「コーポレート・ガバナンス改革が実質化の壁にぶつかっている(フォローアップ会議での言い回し)」ことに対する原因分析が誤り続けているからではないでしょうか。 すなわち、日本経済(日本市場)全体の中で行うべきマクロ財政・金融政策議論の欠如、合成の誤謬、均一化された形式的多様性の押し付けなど、検討すべき本質的要因から目を逸らし続けているのではないかと問題提起します。


さらに、改訂案原則4-13は「取締役会はジェンダーや国際性、経歴、年齢、文化的背景の面を含む多様性と適正規模を両立させる形で構成されるべき」としています。しかし、原則2-2では「ジェンダーや国際性、経歴(中途採用を含む)、年齢、文化的背景やこれに限られない観点から」とされています。 「限られない観点から」と言いながら、実際には特定の観点に固執しているという明確な矛盾があります。 原則2-2はポーズなのでしょうか。 金融庁や東証は、自己矛盾のない説明を果たすべきです。


パブリックコメントは、東証にとっての「建設的な議論」の場であり、寄せられた意見こそが、東証に対する「独立社外取締役」としての外部監督機能を果たすものです。この観点から、寄せられた意見に真摯に向き合い、検討していただき、対応について検討過程を含めた透明性の高い説明責任を果たす開示がなされることを強く要望します。


CG導入から今日までの経緯だけでなく、コード内部の矛盾やダブルスタンダードを総合的に眺めると、コードには、別の目的が入り込んでいるのではないかという疑念すら生じます。 その論点については、感覚論ではなく、改訂コードを引用しながら、別のパブコメ意見として述べたいと思います。

 
 
 

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