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特別号 CGコード改訂パブコメ意見❷「個別企業行動論でなくマクロ政策議論が必要」

  • 執筆者の写真: 福田 敏彦
    福田 敏彦
  • 5月7日
  • 読了時間: 3分

私が提出したパブコメ意見❷を公開します。


現在、東証および金融庁は、コーポレートガバナンス・コード改訂に際し、パブリックコメント手続きを実施しています(リンク先は東証による運用説明)。


ご注意:これは1分では読めません。


今回、私が提出したパブコメ意見❷を以下に公開します。


コーポレートガバナンス・コードは、経営環境を与件とした上で個別企業に向けて提唱されるものです。しかし、まさにこの「経営環境を与件とする」という前提と「個別企業にのみ要請課題を集中させる」という構造に、根本的な問題があることを指摘したいと思います。


経営環境とは、日本経済・日本市場の状態を指します。そして日本経済・市場の状況を強く規定するのは、個々の企業の努力ではなく、財政政策・金融政策などのマクロ政策です。一方、個別企業は単独では日本経済に影響を与えられませんが、全体主義的で均一的な行動が集団化した場合には、「合成の誤謬」を通じて経済全体に影響を及ぼします。


この構造を無視したまま、個別企業の行動論に終始してコーポレート・ガバナンス改革を唱えても、実効性が上がらないことは、この10年の結果が示しています。「形式から実質へ」が未だ更新されない理由について、東証および金融庁など関係省庁は、この事実に真摯に向き合い、多角的かつ総合的に考えるべき責務があるのではないでしょうか。


財政政策の中身をここで論じる必要はありません。しかし、日本経済が「失われた30年」と呼ばれる長期停滞に陥り、主要国で唯一成長していない国となっていることは、誰もが認める事実です。その主因はデフレ、すなわち総需要不足です。需要が弱い環境では、個別企業が有効な投資先を見つけることは困難であり、結果として企業は脆弱な需要を奪い合い、コストカット競争に陥りました。さらに、「資本コストや株価を意識した経営」が個別企業に強く求められる中で、自社株買いと配当引上げに資金と意識が集中し、肝心の日本経済にも寄与する投資や消費が拡大していません。これこそが合成の誤謬であり、経済成長(=経営環境)を相互に阻害してきた構造です。


コーポレート・ガバナンス改革は、2013年「日本再興戦略」、2014年改訂版において「稼ぐ力」「内部留保をため込まず積極的な投資」を引き出すことを目的として導入されました。しかし10余年を経た今日、2026年4月10日付の金融庁・東京証券取引所の文書『成長投資の促進に向けたコーポレートガバナンス・コードの改訂については』では、再び「成長投資」「現預金等の活用」を掲げ、振り出しに戻っていることを深刻に受け止めるべきです。その文書の冒頭で掲げられた命題「企業の価値創出は、雇用の拡大・賃金の上昇、投資リターンの拡大等を通じて、日本経済全体の豊かさの源泉となる」は、経営環境を与件として、個別企業に向けられる状態では、理想が過ぎるばかりか、間違った処方箋へと導く危険性さえ孕んでいます。


コーポレート・ガバナンス改革は、経営環境を大きく左右する日本経済・日本市場に関する財政政策や金融政策などとの総合的な視野の中で、合成の誤謬などの影響も考慮して議論されるべきです。そのためには、有識者会議にも、経営学や法学者、資本市場関係者だけでなく、積極財政や減税などのマクロ政策を客観的に議論できる人物を登用することなども検討されるべきです。


パブリックコメントは、東証にとっての「建設的な議論」の場であり、 寄せられた意見こそが、東証に対する「独立社外取締役」としての外部監督機能を果たすものです。この観点から、寄せられた意見に対し、真摯に向き合い、検討していただき、対応について検討過程を含めた透明性の高い説明責任を果たす開示がなされることを強く要望します。

 
 
 

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